【漫画家】鶴吉繪理の哲学・その世界(第五回)
こんにちは!ぐるぐるのーぶるです!引き続き、漫画家・鶴吉繪理さんの特集です!
押井守監督の「イノセンス」に影響を受けた高校時代。今回は卒展から、地元・長崎を離れ東京の美術大学を受験した際のエピソードを伺いました。
高校の卒展の作品に込めた想い
卒展とは、卒業するにあたって必ず提出しなければいけない作品のこと。鶴吉さんの場合は油絵一枚と、漫画を一作品提出されたようです。
鶴吉繪理さんの卒展油絵
社会に流されてしまわないか不安だった
(聞き手:ぐ、鶴吉繪理さん:鶴)
ぐ「これが卒展の漫画ですね?これ、台詞がないのは普通なんですか?」
鶴「これ、なんで台詞がないかというと……。不安な感じを表したかったんですね。親元を離れて東京の美大、知らない土地で暮らしていくことに対してとても不安だったんです。これから自分が世界に出ていくことを油絵にも漫画でも表現しましたね」
ぐ「このなかで、印象深いシーンなどはありますか?」
鶴「これですね。この人魚が海草に襲われるシーン。この黒い海草が『社会』でこの人魚が『自分自身』で。社会に流されてしまうのではないかという不安、自分がなくなってしまうのではないかという怖さもあって」
ぐ「最終的には、海草に襲われたけれどもこの人魚は大丈夫だったんですか?」
鶴「そうですね、海草に襲われることは必然なんだな、っていうことを受け入れて、現実世界に戻ってくるんです」
ぐ「じゃあ、前向きなラストなんですね」
鶴「はい。結局、自分がちゃんと生きていて、自分の足があるんだったら大丈夫なんじゃない?と言い聞かせるような終わりかたです」
ぐ「これは?」
鶴「東京の美大を受験するときに通っていた東京都三鷹市の予備校です。同じ長崎の高校の仲間と受験の前から泊りがけで絵を描いていて。今は有名なアニメーションスタジオなんですよ」
地元を離れ、知らない土地で暮らす不安を抱えながらも、多摩美術大学に進学された鶴吉繪理さん。次回はいよいよ COMITIAデビューした大学時代のお話から漫画家として一歩を踏み出した頃についてご紹介します。
鶴吉繪理新刊「藍に染まる病」COMITIA118発売!
鶴吉繪理
長崎県出身。多摩美術大学卒業後、講談社「ザ・デザート」で3ヶ月に1作品程度の頻度で読み切りを発表。現在は、10月23日(日)のCOMITIA118で発表予定の新作原稿を執筆中。
Twitter: turuyosi▲118(@turu_yosi)さん | Twitter