【漫画家】鶴吉繪理の哲学・その世界(第四回)
こんにちは!ぐるぐるのーぶるです!
漫画をコミュニケーションの一つとして捉えてきた中学時代までの鶴吉繪理さん。高校に入ってから漫画に対する意識が変わってきたといいます。今回は、鶴吉繪理さんの作品の根幹になるような考え方が生まれた瞬間をご紹介します。その前に。。
鶴吉繪理新刊のタイトルが決定「藍に染まる病」
とりあえず、再生してみてください!!
アプリ「モーションポートレート」を使用するとこんなリアルな動きが!!!
衝撃的だった押井守監督「イノセンス」との出会い
高校のデザイン美術科に入学した鶴吉繪理さん。今まで友だちとのコミュニケーションの手段の一つとして描いていた漫画。高校に入ってから「エンターテイメント」と「(芸術)作品」が違うということに気づいたそうです。そんな鶴吉繪理さんに衝撃を与えたのが押井守監督のアニメーション映画「イノセンス」。「(エンターテイメントだと思っていた)アニメーションなのにこんなに芸術的な作品があるんだ!こんなことをやってもいいんだ!」と思ったといいます。エンターテイメントと芸術の融合の可能性に気づき、自分もこんな作品が作りたい!と思ったそうです。
鶴吉繪理作品の哲学を垣間見られる漫画「夢のあと」
漫画「夢のあと」表紙
漫画「夢のあと」人魚と友だちの魚のシーン
(聞き手:ぐ、鶴吉繪理:鶴)
ぐ「これが高校時代の作品「夢のあと」ですね。どんなお話ですか?」
鶴「これは人魚の女の子が友だちの魚を助けるために、陸に探しに出たら人間の男の子に出会うというお話です」
ぐ「じゃあ、結局この友だちの魚は助けられたんですか?」
鶴「いえ、魚は人間に食べられました」
ぐ「えっ!」
鶴「結論としては、「人間だからだよ」という。人間の残酷さのようなものを。このころ手塚治虫先生が大好きで。そういうところも影響しているのかもしれませんね」
ぐ「そういうところに今の鶴吉さんの源流がある気がしますね。普通だったら、人魚が男の子に出会って、友だちも助かって、という流れになりますよね?」
鶴「そうかもしれませんね。このあと、人魚と男の子は心を通い合わせるんですが、結局は『お互い、住む世界が違うよね。お互いの世界で生きていこう』と言ってそれぞれの世界へ戻っていくんです」
ぐ「『もののけ姫』のアシタカとサンのような関係でしょうか?」
鶴「そうですね、心の深いところではつながっていて『でも、ありがとう』というような」
ぐ「このあたりに鶴吉さんの今回の新作にもつながるものの見方の片鱗が見えるような気がしますね」
今回は、鶴吉繪理さんの高校時代にフォーカスをあててご紹介しました。地元・長崎を離れいよいよ東京の美術大学受験に挑む鶴吉繪理さん。次回は、高校の卒展から大学までのお話をしたいと思います。お楽しみに!
鶴吉繪理
長崎県出身。多摩美術大学卒業後、講談社「ザ・デザート」で3ヶ月に1作品程度の頻度で読み切りを発表。現在は、10月23日(日)のCOMITIA118で発表予定の新作原稿を執筆中。